九六の匣

さまざま詰めこんだ匣

『奇妙な落款』(14)

『奇妙な落款』(14)


私は自分と尼子一族の過去を話すのが苦手である。

この安倍と名乗る老人が経験した法螺とも思える噺を一概に嘘とも決めつけられず、又あの謎の青年が何故安倍という男といるのか謎が深まるばかり。そして、何故か自分の過去と係わりがあるような言葉がとびだした。

いかにも私があの古本屋に行ったのが必然であるかのような展開である。

そのような訳で話さざるえない状態になった。
確かに私の尼子一族の生地は東北の山形で、霊山として有名な出羽三山のひとつ羽黒山から東南、奥まったところにあるひっそりとした辰谷沢である。
この地域で、まずお話しなければならないのは酒田三十六人衆と謎の尼についてであろう。

ところで朝廷と源氏の東北への執拗なるかかわりは歴史が語っている。
田村麻呂の阿弖流為討伐に始まり、安倍一族と藤原経清を撃ち滅ぼし、残った安倍一族は各地への逃亡生活を余儀なくされます。
時代は下り、経清の子孫でもある藤原一族に対しても覇権を陰惨な爭いで奪いとってしまいます。

なかでも直系の者は大半処刑にあい、ごく僅かな者が散り散りに生き延びたと聞き及んでいます。秀衡の血縁ともいわれる女御が尼となり虚空蔵菩薩の庇護のもと山形の山深くに落ちのびたともいわれる伝説があり、それが私の祖先と謂われておりますがあくまでも言伝えでございます。
その尼の名を徳尼と申し童子をつれておったと聞き及んでいます。彼女らを警護し庇護したのが酒田三十六人衆ともいわれ、その後の酒田の海運業を始めとするあらゆる商業に従事してきたのです。
徳姫(尼)が連れてきた童子は不可思議な呪術を会得しており酒田衆の前途を占ったともいいます。又、徳尼は歳をとらず生きながらえたともいわれている。その一族が尼子の一族であり私の家の古文書にしるされております。


【途中-筆置】九六


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