九六の匣

さまざま詰めこんだ匣

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

『はる野菜と山菜』

『はる野菜と山菜』

山菜は畑ものとは知ってても
路地の八百屋ならびゆく
シドケ、ゼンマイ、アイコ、ワラビ、木の芽、独活、
葉わさび、行者にんにく(アイヌネギ)、コゴミ
たまに見かけると山菜の種類がふえていく。

近くのマーケットは季節がない野菜が並ぶ。
画一の商品が並ぶ、大きさもみな同じようである。
でも山菜も然りどこかのハウス栽培で育っているのだろう。



アボガド オレンジ

キューイ トマト

パイナップル 大根

南瓜 蜜柑

【歩句】『はる野菜』1039

店頭の彩るなかにわれいたり
スポンサーサイト
このページのトップへ

『はな日記 木蓮』

『はな日記 木蓮』

連翹300

もくれんや嫁ごめかして陽のたまり  【歩句】『櫻唇』1038


このページのトップへ

『はな日記 夜桜』

『はな日記 夜桜』

夜桜① 夜桜②

夜桜③ 夜桜④  

夜桜⑤ 闇櫻 枝垂れ櫻


のこされし花のいのちの囁きに  【歩句】『残花』1036


【歩句】『櫻唇』1037

のこされし
花のいのちの
囁きに
ふるえし枝の
やわき唇






☆彡
【“『はな日記 夜桜』”の続きを読む】
このページのトップへ

『笑九朗事件綴』伍

蔵1木の中



『笑九朗事件綴』伍


蔵⑭----秋④

 梅介と花、私の三人は鬱蒼と繁った樹木に囲まれた敷地の中にある大蔵の入口にたったのである。傍にってみて蔵のあまりの大きさにたじろぐぎ、手入れの行き届いた威風堂々とした土蔵であった。
まずは周囲を観察してみる事にして、辺りを巡ってみたのだが、犬走りの御影石、小手の模様細工、海鼠塀はよほどの年数を経ているのだろうやや雨跳ねがうかんでいる。この蔵を建てた職人はよほど腕のいい都の職人に違いないだろう。
探偵101-2----探偵110-⑨3

一巡りしていると蔵から離れた場所に二階建ての小屋がある。
思わず梅介に向って
「少年!あれはなんだい?」と声をかけた。
すると垂れ鼻を手首で擦りながら
「ケッ、少年ってオラの事なんだべか。オラは梅介ってぇんだ」
「梅が少年だど」と花がケラケラと笑った。すると梅介は照れくさそうに「あれな、あれは井戸小屋だぁ」言い放つように答えた。
探偵110-③4----探偵110-②5

初めてみる井戸の仕組みだと思いつつ訝しげに足を向けた。
よほど釣桶が深いらしく、桶についているロープは二階までのびて滑車がついているのだ。井戸の周りは四本柱があり、板階段が二階まで掛けてあり、し水汲みは重労働で使い勝手がゆるくないだろう。苔むして所々腐っており板が外れたりしていて昇るには勇気がいりそうだ。
探偵110-⑧6----探偵110-⑤7

「今は使ってはいねぇんだ」
「よほど深い井戸らしいね」
井戸の上板がしてありロープが通る部分だけトタンの穴だけの隙間があり、體躯を折り曲げて覗いてみたが暗く下層は闇また闇である。
井戸+++--井戸

「ここさ落ちたら助からねべな」
「ずっと昔、明治の初めだか 女のひとがおちたんだと、梅!知ってるか」
「おらはぁここさ来て三年だども そんたらごど知らねべ」
「本当に深い井戸なんだね」
「皆さ、しゃべるには井戸の傍さきて駄目なんだと」
その時、私は背中の後ろの藪の方から鋭い視線を感じた。しかし振返ると樹木の下藪には誰もいなかった。ただ背筋がゾクッという程の冷たいものだった。

宵 闇柳----探偵100-1

「探偵さんサッサと蔵ばみるべ」花がせがむな眼で私の袂を引張った。



三人は蔵の表に廻り扉の形をみると、土蔵の入口には鎖で播いて大きな四角形の錠が施されていた。
梅介は持参した皮の袋から鍵束の束を取り出すと、その中から特に大きな銀色の鍵を取り出し鍵穴に宛がった。鍵が外れ鎖がもの凄い音を発てて石段に滑り落ちた。
すると梅介はフーッと溜息にも似た大きな息をした。

蔵⑥----秋⑧



探偵も蔵を手前に引張ると重そうな軋みをたてて観音開きに両側に分かれた。すると木製の引戸が現れ、鍵穴があるにもかかわらず梅介は慣れた手付きで象嵌細工の鉄製の飾り部分を私に見せないように二~三度捏ね回した。象嵌細工は豆槌で丁寧に造られたもので、その部分を押してどちらかに回すと本当の鍵穴が出る仕組みらしい。それにしてもこの紋様は鬼みたいな‥確か「ツノ‥‥」とかいったような厄払いの護符のようなと、

元三大師札

「この細工された不思議な鬼みたいな模様の部分が本当の鍵穴ってわけだね、凄いからくりって事だって事だね」
「中央の眼に見える鍵穴はなまやかしの嘘でがんすだ。二本美でこうしねえと真の鍵穴はみつからねんだべ」
「梅は大旦那さまにいつもお供に連れられているがらなんだべよ だがらよぐ知ってるんだ」
梅介は戸に二番目の鍵を入れ、回すと真中から滑車のせいか簡単に開く、すると又、厚い合せ板一枚の塀のようなもので行くてを塞いでいる。
すると梅介は花に向って
「あれ持ってるべ よごせ」
落し専用の鍵棒③-----蔵 鍵-小2009-5-9

花は鉄製のL字型で30cm程の直角に曲がった鉄棒を梅介渡した。
今度は戸の下にある径が3㎝程の穴に鉄棒を差込んで、何かを探すように手首の辺りをやや返したのである。するとコトンとツッカイ駒が外れるような音がしてガラらラと横にスライドさせた。これは「落し」という仕組みでになっているだろうが、結局この蔵は三重の防犯扉になっているのである。これほど厳重にしなければいけない理由がきっとあるのかと思われた。
ここまでやって梅介は私の方を向いて唇を歪ませて声もなく笑ったような顔をした。
「花っ 燈明を点けてけろ」
今度はちょっと威張った口調で花に向い言った。

花は燈火の蝋燭にマッチでシューと擦り、入口脇の柱にある蝋燭に燈をともしながら
「ここの蔵は気持ちが悪いんだべ」
「んなごどねぇ どの蔵も同じだんべ ただ大きいくて暗いだけだ」
子供とはいえ男粋を感じるヒトコマであり、彼らが意図も簡単に蔵扉を開けてしまった事に驚いた。
「君たちは大したもんだよ。さて入ってみようか」

灯かり 蝋燭②

そこは闇の世界そのものであった。

地図 陸奥の地図500
ここは道の奥の國‥。

つづく














☆彡

※写真、ならびに人物・地名はすべて架空のもので本文とは関係ありません。写真はイメージを表現するもので多くは手前のものを使用しておりますが、もしご迷惑をおかけする場合は削除いたしますのでご連絡ください。

このページのトップへ

【歩句】『四七の菊』 1035

【歩句】 『四七の菊』 1035

手向けるや四七壇所華かろし











☆彡
このページのトップへ

『はな日記 櫻花 』1025-1032

『はな日記 櫻花 』 1025-1032
【歩句】『櫻花』

「はな筏」1025-1027

散りゆくも太湖を模してはな遊ぶ
花よせ 花筏

岸よせる薄紅そえてはな筏
雨櫻302  雨櫻307  雨櫻304

花あつめ小山となりて風を知る
雨櫻305  雨櫻306 雨櫻300

「雨さくら」1028

濡れそぼる花びら哀し輪の踊り
雨櫻308 あめの日 花筏300 雨櫻309

「枝垂れ夜櫻」1029

揺らめきて頬に紅いれもて遊ぶ
しだれ櫻 垂れ櫻①
垂れ櫻②

「逆光の木々」1030

うつしゑを後光煌き闇櫻
櫻⑦闇    櫻⑩闇

「櫻影」1031

あおさ増すとり残されて櫻かな
櫻⑦-1 櫻影①    櫻影⑦

「古櫻」1032

瘤かさね蕊ふるまでも鮮やかに
櫻古木②     櫻古木①
  
このページのトップへ

『笑九朗事件綴』肆

『笑九朗事件綴』肆

冬の芽⑩----岩と石①

廊下では舞衣子婦人が梅介に私を蔵に案内するように告げているのがうかがえた。錠を両手で受取ると重そうに私の方をチラリとみた。
やがて婦人は傍にやって来て
「探偵さん申し訳ねけんど この梅介と一度蔵を観てもらえんすか」
と言いつつ奥に向って花という女中をよび、花、お前も梅介と一緒に行くようにやや甲高いこえでいいつけた。
私は構わないと言いつつ立ち上がろうとした。すると背中から声がした。
「それから探偵さん、夜汽車で来なすったんでしたねぇ、内の主人と同じ背格好だから帰ってきて風呂につかったら洋服を使ってくださいな」
「それには及びません」
「遠慮しねんでくだせいなぁ、それに衣類を洗濯させますから‥部屋も離れに用意させあんす」
確かに早春とはいえ着の身着のまま人形町の事務所をとび出してきたので汗で汚れて臭かったのを気ずかってくれたのであろう。赤面しながらご行為にあまえることにしてか感謝の辞を述べた。

 商会の事務所と母屋は棟続きになっていて、廊下の棟木は材木一本からなっていた。廊下は掃除がいきとどいているのだろう、黒く鈍いひかりを放っている。庭には名石と思われる巨石が三つあり、池には風情を漂わせている。

庭石②----庭石③


東北には珍しく石榴(ざくろ)の木があり天辺に残された果実が萎んで黒くなり時期がくればたわわに穣のだろう。ひとつ残すのはおそらく神への感謝をこめた木守り柿の風習だろうか。
地面をみると、東北でバッケと呼ばれる蕗の塔が出ていた。この蕗の塔は酢味噌和えとか天麩羅にするとほろ苦く春を味あえるものである。時間があれば作ってみたいのだがと‥。

石榴(ざくろ)----ふきのとう③
突然、
「もっし、ト・トウ・東京の探偵様!」
声の方向に目をやると梅介と花が私を見上げていた。
東北のこの地方では話す前にモシとかモオスとかつかいのである。 漢字でかけば申し上げるとかもの申すと解釈するとつじつまがあうようだ。

「梅介君と言ったかな」
「んだ」
横から年上の花が「なんだ梅!んだはねえぇべ ハイだぺ」
「んだ、ハイであんした。でもお花もうっせぃぞ」

梅介は普段はウメと呼ばれて、十五・六歳の娘はオハナという。少年は声変わり前だろうか十三歳くらいだろう、ボーイソプラノみたいなかなり甲高い声で話すのだが、二人とも話す言葉は東北弁まる出しで、まるで外国語のように聴こえる。そういう訳で、聞き返すことがしばしばである

池の周りを廻り林の奥に大きな蔵が出現した。
はるの池----蔵25

建物でいえばゆうに三階建てもありそうな巨大な建物であった。
「ところでお花ちゃん、失踪となると警察には届けたんだろうね」
「ほだくでねぇども(判らないけど)、奥様は届けたり他人に喋っちゃなんねぇと‥」
「ほう そうか、私を東京から招いたのはその辺にありそうだね」
「おらも言われおん」
「じゃあ梅介くんは旦那さまがいなくなった時には一緒じゃあなかっただね」
「‥‥」
「梅! はっきり喋らんと探偵様が困るんでねが」
花は梅介を叱りつけるに詰った。

「おらぁ旦那さんがいなくなった夜だども、寝小便をちびりそうになって外の厠さいったのさぁ」
「それで」
「その日は春だのに雪っこがさあーとふっててなぁ」
花はじれったこうに
「みたのが 旦那さまを!」
「ほんで、旦那さまが雪の中を独りで大蔵さぁ寒そうに歩いて行ったんだ。だども‥」
「なんかおかしなことでもあったのかい」
「行くときは雪に足跡がついていたども 朝起きてからみたっけ 帰りの足跡がねえんだ」
「行ったきりってことが 何でそれば奥様さ言わねんだ 梅!」
「昼前に雪こが溶けたから てっきりその後に出てきたと思ったべぇ」

なんとこの少年は、昼近くになっても姿をみせない主人の事で 家中が大騒ぎになっていたのを知らなかったのであろうか。几帳面と聞いている男は、鍵を掛けずに他に行く訳はないはずだろ‥。するとまだこれから入る大蔵の中に身を潜めてるかもしれないのだ。

ゆきのあさ----蔵⑰

そして この事件は意外な展開を見せはじめるのである。

こずかた③

不莱方町は三本の河が町のど真中で合流して発展した古い町である。

つづく  ‥かな




































※写真、ならびに人物・地名はすべて架空のもので本文とは関係ありません。写真はイメージを表現するもので多くは手前のものを使用しておりますが、もしご迷惑をおかけする場合は削除いたしますのでご連絡をください。


このページのトップへ

【歩句】『豆跳ねて‥』1024

『豆跳ねて‥』

枝豆が弾けて跳んで
コロコロと 転げて孫の鼻先
ケラケラケラと笑い転げる
無邪気さに
もうひとつ跳ばして
口元緩む
ともに愉しきかな


妹の孫がやってきた
いまだ這うこともできないのだが
おもわず跳んだ緑の豆に
何が面白いのか笑いこける

そろそろ孫が欲しいと
娘の目をみるも
いまだ相手もいないらしい
気づいたのかそっと顔を背ける

誹るおもいはなきものの
心みすかされ
指から豆を跳ばせる




【歩句】『豆』1024

豆はねて面白おかし孫わらい




このページのトップへ

『はな日記 櫻雲石 』

『はな日記 櫻雲石 』

櫻雲石①

石割りて櫻は暫し頬そめし
春爛漫に手毬の花は時をよみ
男女は左右にわかれ
櫻めぐりてであいたる
記紀を誘(いざな)い
春を詠む

櫻雲石②  

櫻雲石④  櫻雲石⑤

櫻雲石⑥  櫻雲石⑦

櫻雲石⑧  櫻雲石⑨

櫻雲石⑩  櫻雲石⑪

石割櫻は明治時代には櫻雲石と呼ばれていたそうな。
石を雲にみたてて浮く櫻といった風情かな‥

【歩句】『雲上の桜花』1023

ゆく春を手毬遊ばせ妻の笑み








☆彡



















☆彡


このページのトップへ

『はな日記 黄金咲く』1022

『はな日記 連翹 』

連翹①

連翹②

【歩句】『黄金咲く』1022

みちのくの黄金ちりばめうたを詠む

いろめきて連翹煌めくあゆみとめ






☆彡
このページのトップへ

『はな日記 芍薬 』

『はな日記 芍薬 』

芍薬① 芍薬②

芍薬③ 芍薬④

芍薬⑤ 芍薬⑥

芍薬⑦ 芍薬⑧



【歩句】『赫き花」1021

あざとくも日輪の赫咲きほこる

☆彡
このページのトップへ

『はな日記  櫻‥ 』

『はな日記  櫻‥ 』

櫻①  櫻②横

櫻③  櫻④

櫻⑤  櫻⑦

■さくら

このページのトップへ

『はな日記  辛夷 と白木蓮 』

『はな日記  辛夷と白木蓮 』

辛夷 満開③  白木蓮① 白木蓮②  暮れなずむ 辛夷④


いまは白の世界 純白 
シルクのようななめまかしい花が空一面に広がる。
はらりはらりと大きな花が落ちて舞う
踏まないように地面をケンケンしてあるく

辛夷⑥ 辛夷⑤


【歩句】『白き花1019-1020

ぼんぼりに御霊を映すこぶし花

闇に咲くいまは何処かはな辛夷















☆彡
このページのトップへ

『はな日記 宵の闇へ』

『はな日記 宵の闇へ』

陸奥(むつ)の國 こうかいて みちのく
この國は陽がしずむ瞬間に山々のいろが淡く化粧する
足のむくままふらりと花を探しにでかける。

櫻の木が岩の割って僅かな花をつける
もうすぐあたり一面 花だらけになる
そのほんの躊躇する時間のあいだに
頬を染める空気がながれる
息をひそめて大気が色づく気配
淡くほんのりした夢のような瞬間が好きだ

宵の刻 闇の中に身をうずめて
柔らかな帳が淡い光りのなか闇にかわる



宵の闇へ 宵の闇へ①
宵の闇へ①-1 宵の闇へ①-2
宵の闇へ①-3 宵の闇へ①-4
宵の闇へ①4-2 宵の闇へ①-5
宵の闇へ①-6 宵の闇へ①-7

宵の闇へ①-8

宵の闇へ①-9 宵の闇へ②
宵の闇へ③ 宵の闇へ④
宵の闇へ④-2 宵の闇へ⑤
宵の闇へ⑥ 宵の闇へ⑦
宵の闇へ⑨ 宵の闇へ⑨-1
宵の闇へ⑩ 宵の闇へ⑪

何處にいるのだろう 

宵の闇へ⑫

闇に紛れてうろたえし
闇がなまぬるく纏わりつく‥












このページのトップへ

【歩句】『満のはな』

【歩句】『満のはな』

櫻①    櫻②横

櫻③    櫻⑧

櫻⑨    櫻⑫

櫻⑬    櫻⑭

櫻⑮    櫻⑯



花まてぬ愛でぬ白さかさくら逝く    1033 
このページのトップへ

『笑九朗事件綴』参

はな迎え----碾臼②

『笑九朗事件綴』参


蛇行する川 ----セピアの街

割烹着を着た女中とおぼしき若い娘が静々と紅茶と和菓子を持ってきた。
カップをテェーブルに置く時に微かに金属音がした。
驚いたことに、強い甘い香りが部屋中に漂うい、心地よく芳しい空気が鼻をくすぐった。
この香りは‥インド産の頭部で生産されたダージリンだろう。ひとくち飲んで香りとその渋みの中の深みがなんともいえない。
婦人は紅色の唇を微かに震わせ
「長谷川さん まんつめし上がってくなんせ」と探偵に勧めた。
春の和菓子②

「あっはい ありがたく戴きます」
「長谷川さま、先ごろ手に入ったベンガルの紅茶だどもいかがですか、ミルクでもお持ちしましょうね」
「いやいやそのままで 十分です。東北でこれだけの品がいただけるなんて思いもしませんでした」。
笑九朗はいままでに飲んだ紅茶のなかで、日本の早摘み緑茶にも似た不思議な甘さを堪能したのである。ダージリン地方は寒暖の差の激しい高地であり、春に摘んだ葉を醗酵させないものがあるという。
「宅の主人惣吉は英吉利(エゲレス)に遊学していた時期がごあんして、私が嫁ぐ前から茶といえばこれであんした」
「私も紅茶は好きなんですが今までかような高級といいますか上品なものをいただくのは初めてでして‥」
探偵の眼鏡が湯気でくもって婦人の顔が霞んだ。
「東京からお呼びして申し訳ながんす。辛い長旅をさせてしまったんでねすか。まんつ、ねまって(ゆっくり寛いで)もらおうと思ったけんど旦那さまを探してもらわねばなんねぇしぃ」

和室廊下①----傘電灯

笑九朗は恐縮しながら訪ねた。
「中米内氏は誰か他人に恨まれていたという事はなかったでしょうか」
「えっ、旦那さまはそんなひとではねっす」
唇をきっと引き締めて否定した。
「例えばのはなしです、お気を悪くされたら陳謝いたします」
「惣吉様は人望も厚く人様に指を点されるうな者でねのっす  ‥ただぁ‥」
「なにか気にかかる事でもありましたでしょうか」
「あのなはん 気になるといえば蔵の鍵のことなんだども 当家には蔵が何棟もあるんがんすぅ」
「はいここへ来る途中にも海鼠紋様の蔵がたくさんございましたね」
「蔵はいっぺあるけど 外国から仕入れたものを保管する大蔵には、旦那様しか鍵を持ってながんす 妻の私もなかなか入れさしてもらえません」
「すると鍵をつかい蔵の中にはいつも御一人で仕事の出し入れをなさるんですか」
「そうでがんす。ただ貴方様を停車場まで迎えに行った小僧の梅介だけはいつも手伝っているようでなす」
「あっ あの小僧さんだけがですか‥」

蔵⑮


「ところで最初に商館に伺ったときにカウンター脇のショーケースに高価な宝石が無造作にと言っては変ですが置かれておりましたが、宝石のご商売もなさっているのでしょうか」
「昨今の流行とでもいうですか、なかなか売れ筋がよろしいとか聞いてあんす」
「宝石の下に敷かれております皮に描かれた紋様は珍しいものでしょうね」
婦人は「ほほほほッ」っと笑いながら
「あれは主人の趣味だと聞いております、もっとも私は気味が悪く、恐っかねぇし 本当は嫌なんでござんすが、惣吉が大層気にいってるもので 無下に反対はしねぇんでがんす」
「いやいや私もなんか久しぶりに見た図柄なもので ちょっと気になりました」
どうやらあの紋様が何を表しているのか知らないようである。
庭の木々----蔵22

舞衣子は手を二度ほど叩くと先ほどの女中がやって来た。
「花さん、梅介をここへ来るように言っておくれ」
と言いながら着物の裾と襟をを直した。
花は肯いた後、憶座敷の中に駆け込んで行った。


蔵⑯

元不莱方藩で現在は不莱方市という東北では中ほど街である。
探偵はあの皮の図柄がこんな田舎町に人目に晒すように置かれていたのか訝しげに腕を組み左人差し指で眼鏡のなかほどを押し上げた。

不來方藩----和室④+


つづく















☆彡
※写真、ならびに人物・地名はすべて架空のもので本文とは関係ありません。写真はイメージを表現するもので多くは手前のものを使用しておりますが、もしご迷惑をおかけする場合は削除いたしますのでご連絡ください。
このページのトップへ

『はな日記  春‥花が咲いた』

『はな日記  春‥花が咲いた』

はな日記2009-4-11①  はな日記2009-4-11②
はな日記2009-4-11③  はな日記2009-4-11④
はな日記2009-4-11⑤  はな日記2009-4-11⑥
はな日記2009-4-11⑦  はな日記2009-4-11⑧
はな日記2009-4-11⑨  はな日記2009-4-11⑩
はな日記2009-4-11⑪  はな日記2009-4-11⑫
はな日記2009-4-11⑬  はな日記2009-4-11⑭
はな日記2009-4-11⑮  はな日記2009-4-11⑯

はな日記2009-4-11⑯-2  はな日記2009-4-11⑰

今日のはな 明日咲く花も 幸あれと
こころ和ませ ときのすぎゆく

はな日記2009-4-11⑰-2  はな日記2009-4-11⑱

ウツボ草やオオイヌフグリも青い小さな花を咲かせる。
コブシ、梅、椿、芍薬、水仙  
一斉に花ひらく
櫻もどこかで囁きはじめた




















☆彡























このページのトップへ

『はな日記 ふきのとう』

『はな日記 ふきのとう』


3月の末は春を押し戻すように
寒気がいついていた
やっとあたたかい日が続き
北の風は淡桃色にたなびく
蕗の薹は淡い黄緑を一面に散らばせると
木々は唄いはじめた

ふきのとう①  ふきのとう④

ふきのとう②  ふきのとう③

傍らの色を束ねて蕗の薹   【歩句】『蕗の薹』1017













☆彡


このページのトップへ

『はな日記』 「はなを有難うございます」

『はな日記』
はなを有難うございます



はなおくり

やさしい色つかい‥あげさせていただきます

九六&りつ












☆彡

このページのトップへ

『漫画 蟲々』2009/3/29

『漫画 蟲々』2009/3/29

「クラッシュ正宗」原作/小林信也 作画/たなか亜希夫  
※ 1995-12-11初版
クラッシュ正宗

「ヒロモト森一短篇集」
※スターウォーズがオモロー!!
ヒロモト森一短篇集

「闇鍵師」
闇鍵師

「魔剣X」①②
魔剣X①  魔剣X②

「極東綺譚」衣谷遊
衣谷遊 極東綺譚














☆彡


このページのトップへ

『笑九朗事件綴』弐

『笑九朗事件綴』弐

蔦洋館②


お辞儀をしながら、東北にしては素晴らしく鼻筋の通った美しきひとでございまして、どこか花柳界出身のような着こなしで普通の男ならそそられるほどの婦人でした。
婦人は当家の奥方で中米内麻衣子と名乗った。
「下駄と足袋は新しい物を用意しておきます まんつこちらへ‥」
「こんな恰好で失礼いたします」
笑九朗は足袋のまま婦人の後をおって商館に辿りついた。

婦人の案内で田壱が表の硝子戸を曳くと古めかしい一枚板の厚いカンターが置かれており、壁には不思議な図が貼られてあ.る。
絵図3

絵文字地図 紫がかった黒いムツと言う魚を陸奥に嵌めた絵地図がだが、なかなかのものである。識字率が低い時代に絵をもって知らしめるのは南部めくら暦などにあらわれている。又、江戸の判(はん)じ絵(注①)は洒落などで謎かけみたいな遊びのようなものである。めくら暦も江戸暦に端をはっしているそうだ


注① はんじ絵
江戸暦----判じもの


探偵はこの商家が多種多用な雑貨を商っているのだとおもいつつも、傍らの硝子製のショーケース中を覗きこんだ。
すると中には高価な宝石類が並べられてあった。
しかしそれらの下に敷かれた布にはなにかしら畏怖の念をいだいたのである。
ショーケース①----ショーケース②   
「なんだ この図柄は‥」
次のショーケースには   
思わず 息を呑むような異様な空気がながれた。
次のケースには宝石の指輪などがやはり西洋歌留多の上にならべられてあった。
ショーケース④----ショーケース③ 
ケースのなかに見入られたまま‥

肩に何かが触った。
目で振り返るとあの婦人の蒼白い手であった「どうなさいあんした」
「いえ、なんでもありません ところで私をお呼びになったのは‥」
「あなた様にお願いしたのは私なんでであんす」

奥の洋間の応接間に通されてその頃田舎では珍しい外国のものらしいソファー座ると、舞衣子は淡々と語りはじめた。

「するとあなたの御主人の中米内さんが行方不明になったというんですか」
「わたし主人は若い頃から度々西洋に渡りまして様々なものを仕入れては販売しております」
「御主人の中米内惣吉さんのことですが、なにか出先に心当りでもありますか」
「へい、最初は花街でも行って腰を据えているのかと思っておりあんしたですよ」
「それで皆さんで探したですね」
「そうなんです。ところが三日前になって小僧が蔵の鍵が開いたままになっているというんですよ」
「蔵の中は当然お探しなったんですよね」
「はい、屋敷中、蔵の隅まで家の者全部でさがしました」
「ほう、では他に出掛けたままというのは‥」
「それはございません、蔵の鍵は主人だけが持っていていまして主人の性格上開けたままで出かける人ではありません」
「すると何かしら事件に遭われたという可能性はありますね」
「‥そ・そうでゴあんす、ほんでもって知人のつてで探偵様のあなたを電報でお呼びしたんのっす」

笑九朗はこの行方不明が大きな事件の発端となることを予想だにしなかった。

ここはみちのく 不來方の國
【地図】陸奥③+
総てはここから始まったのである。


つづくのであります。
製作中
















☆彡
※写真、ならびに人物・地名はすべて架空のもので本文とは関係ありません。写真はイメージを表現するもので多くは手前のものを使用しておりますが、もしご迷惑をおかけする場合は削除いたしますのでご連絡をください。

このページのトップへ

【酒志樂】 『絵盃』

『絵盃』
法事がありまして 久しく使用しなかった様々な皿の中に絵盃がでてまいりました。
昔々みたけど どこにしまったか忘れてしまったものがぞろぞろと顔をだす。

絵盃①  絵盃②
絵盃③  絵盃④
絵盃⑤  絵盃⑥
絵盃⑦  絵盃⑧
絵盃⑨  絵盃⑩


九つの絵盃①  九っの九谷絵盃 裏
  
九つの絵盃②  十の九谷絵盃
    
  五っの九谷盃 裏  



このページのトップへ

☆彡九乃翁『碾臼』より二句

☆彡九乃翁『碾臼』より二句

紙風船

息いっぱい詰めて紙風船子にもたす



良寛忌

七十のななつごころや良寛忌

九路翁句集①----九路翁句集②



※言霊匣
良寛
宝暦8年10月2日 1758年11月2日
- 天保2年1月6日 1831年2月18日
江戸時代の曹洞宗の僧侶、
歌人、漢詩人、書家。
俗名、山本栄蔵または文孝。号は大愚。
このページのトップへ

【歩句】『花徳芳心』1016

【歩句】『花徳芳心』1016

芳しく忘れず咲きし花心





花徳芳心
このページのトップへ

【歩句】『はなおれ』1015

【歩句】『はなおれ』1015

花折の時はながるる滴おつ
このページのトップへ

【歩句】『嫋やかに逝く 』1014

【歩句】『嫋やかに逝く』1014

葉のひとつ摘みて語らず傍にあり







【“【歩句】『嫋やかに逝く 』1014”の続きを読む】
このページのトップへ

FC2Ad

プロフィール

九六

Author:九六
好きなものを自由に書く、読む、観る、描く。そして遊び愉しむ。
【※】【玖絽・by96・九六・九路・KURO・物部黒彦】【96猫國から発信】
【※】-半世紀分の散らばした気侭綴ゑ-

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

FC2カウンター


リンク

このブログをリンクに追加する

全タイトルを表示

全タイトルを表示

ブログ内検索

月別アーカイブ

ポインタ・スイッチ





ボタン

最近のトラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。