九六の匣

さまざま詰めこんだ匣

『タイタニックの夢海』

『タイタニックの夢海』 by96

いつもの 自分の布団に寝ているのだ。
久しぶりの旅行で、温泉に宿泊する事になった。
寝具が代るとなかなか寝つけないものだが、羽毛で軽く暖かいのですぐに眠りについた。

ところがフト眼が醒めた。背中や首裏がやけに冷たいのだ。
頭から、額から汗が吹き出している自分に気づて驚く。
滴り落ちて耳のうしろをながれ、首筋に滑り込んでくる。
布団に汗がながれるが、汗は止まらない。
どうしたことだ。
汗は布団に落ちて溜りジトジトと湿ってくる、体が冷えてくる。

寝る前にお湯割りの焼酎を二、三杯飲んだつもりなのだが、何かしらおかしいのだ。
とにかく 汗がとまらない。
ここはどこだ。
漂うタイタニックの海にいるみたいだ。
体が冷える。
とにかく寒くなってきた。
初めての経験に何度も眼が醒める。
凍えてしまうのが先か、朝の太陽が昇るのが先か、
起きて熱いシャワーを浴びれば、きっとそれで私は生き返るはずだ。
でも、この布団の僅かな温もりからでてゆく勇気もまた必要なのだ。

まだ海は漆黒の闇につつまれている。
漂う布団は海に浮かんでいるのだから。
ほら、ホイッスルが遠い闇で鳴っているようだ。
あのタイタニックの夜の海に 私はひとり漂っているのだから‥。

ホイッスルに向かって手を振ろう‥。
手があがらない、声も出ない、遠ざかる音。

どこからが 夢の中なのか ただホイッスルが微かに聞こえる‥。
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『はーどぼいるどな夜』

『はーどぼいるどな夜』玖絽

『ハードボイルドの卵を 殻をむいたのか 或は 絶対に掻き混ぜるな!』

子供時代から 父親の書斎で色々な物をかいまみてきた。
父親は工学系で土木屋でありましたが、アマの文学青年だった。
小説や俳句・詩・絵を好み、
部屋には、種々様々の 面白げな 雑誌や本が存在していた。
月刊誌宝石、少年倶楽部 世界の脅威・不思議シリーズ、
訳本エラリー・クィーン、マンハント、文学小説からなどなど
俺は ベッド(布団)の中に雑誌を持ち込み、懐中電灯で隠れて見ていたひとりだ。
こうして、いやがおうにも ハードボイルドに はまっていった。

シガーのヤニと男臭さがまんえんして、ショットグラスと鉛弾が飛び交う エロチックなサロン。
そんな中で、どこまでも女は 艶っぽく しなだれかかり、思わせぶりな 熱い吐息が 俺をくすぐる。
はちきれんばかりの豊満な肢体と、可愛い口で 狂わんばかりに 悩ませるのだ。
そうなると 男は不死身のヒーローとなれたのだから…。クール。

今夜もバーボンで酔いしれて、どぶ板通りに頭からつんのめって 気を失なっているいるだろう。
しかし、ベルトに差しこんだ リボルバーがやけに腹を冷やしてくれるじゃねぇか。
ゆるりと起きあがる。泥も払わずに 髪をバックにキメル。
男は自分に呟くのが好きなナルシスト、
暴力がうずまき 支配するセックスアンドシティ、
あぶれた紳士淑女の塵匣(ゴミタメ)、柔なやつは生き残れない。

そんな街、シン・シティ(罪の街)の映画をみた。
なんか 今夜はハードな男に酔いそうだ。
「正義、悪人 くそったれぇだぜ」
「ヘッ 食えねえ奴だぜ おめぇは‥」
【96】
「シンシティ」を観た夜に記す‥

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プロフィール

九六

Author:九六
好きなものを自由に書く、読む、観る、描く。そして遊び愉しむ。
【※】【玖絽・by96・九六・九路・KURO・物部黒彦】【96猫國から発信】
【※】-半世紀分の散らばした気侭綴ゑ-

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